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山口地方裁判所 平成7年(わ)6号 判決

本店所在地

山口県長門市深川湯本一二八〇番地

有限会社湯本ハイランドホテルふじ

右代表者代表取締役

藤井サツキ

本籍

山口県長門市東深川九一一番地の五七

住居

同県同市深川湯本一二八〇番地

会社役員

藤井サツキ

昭和四年五月一四日生

右の者らに対する各法人税法違反被告事件につき、当裁判所は、検察官野島光博出席の上審理し、次のとおり判決する。

主文

被告人有限会社湯本ハイランドホテルふじを罰金一〇〇〇万円に、被告人藤井サツキを懲役一〇月に、それぞれ処する。

被告人藤井サツキに対し、この裁判の確定した日から三年間右刑の執行を猶予する。

理由

(罪となるべき事実)

被告人有限会社湯本ハイランドホテルふじ(以下「被告人会社」という)は、山口県長門市深川湯本一二八〇地に本店を置き、旅館業を営むもの、被告人藤井サツキ(以下「被告人藤井」という)は、被告人会社の代表取役としてその業務全般を統括しているものであるところ、被告人藤井は、被告人会社の業務に関し、法人税を免ようと企て、売上げの一部を除外し、また、架空人件費、架空仕入れなどを計上する方法により所得を秘匿した

第一  平成二年五月一日から同三年四月三〇日までの事業年度における所得金額が五六七三万〇二五一円で、これに対する法人税額が二〇三〇万四〇〇〇円であったにもかかわらず、同年七月一日、山口県長門市深川九六四番地の一所在の長門税務署において、同税務署長に対し、右事業年度の所得金額が一二五三万五六一九円で、これに対する法人税額が三七三万〇九〇〇円である旨の虚偽の法人税確定申告書を提出し、もって、不正の方法により同事業年度の法人税額一六五七万三一〇〇円を免れ

第二  平成三年五月一日から同四年四月三〇日までの事業年度における所得金額が五七八六万二一〇〇円で、これに対する法人税額が二〇四六万〇五〇〇円であったにもかかわらず、同年六月三〇日、右長門税務署において、同税務署長に対し、右事業年度の所得金額が二〇〇五万五四一九円で、これに対する法人税額が六二八万二九〇〇円である旨の虚偽の法人税確定申告書を提出し、もって、不正の方法により同事業年度の法人税額一四一七万七六〇〇円を免れ

第三  平成四年五月一日から同五年四月三〇日までの事業年度における所得金額が三七四七万三六九三円で、これに対する法人税額が一二五三万四一〇〇円であったにもかかわらず、同年六月三〇日、右長門税務署において、同税務署長に対し、右事業年度の所得金額が一五二四万二六〇八円で、これに対する法人税額が四一九万七五〇〇円である旨の虚偽の法人税確定申告書を提出し、もって、不正の行為により同事業年度の法人税額八三三万六六〇〇円を免れ

たものである。

(証拠の標目)

判示事実全部につき

一  被告人藤井の当公判廷における供述

一  被告人藤井の検察官に対する平成六年一二月一四日付け及び同月二〇日付け各供述調書

一  吉沢榮造(三通)、八木敦子(二通)及び杉山武好の検察官に対する各供述調書

一  いずれも、広島国税局収税官吏大蔵事務官作成の、告発書、調査事績報告書二通、当期売上高調査書、期首商品たな卸高調査書、当期商品仕入高調査書、期末商品たな卸高調査書、雑給調査書、役員報酬手当調査書、修繕費調査書、受取利息調査書、支払利息割引料調査書、新規取得土地等の負債利子の損金不算入額調査書及び事業税認定損調査書

一  検察官作成の平成七年一月一三日付け電話聴取書

一  被告人会社代表者代表取締役藤井サツキ作成の修正申告書三通(謄本)

判示第二の事実につき

一  広島国税局収税官吏大蔵事務官の垰谷貢に対する質問てん末書

判示第三の事実につき

一  検察官作成の捜査報告書

(法令の適用)

判示各所為

各事業年度ごとに、

被告人会社につき法人税法一六四条一項、一五九条一項に、被告人藤井につき同法一五九条一項に(被告人藤井につき懲役刑選択)

それぞれ該当

併合罪加重

被告人会社につき

刑法四五条前段、四八条二項

被告人藤井につき

同法四五条前段、四七条本文、一〇条(犯情の最も重い判示第一の罪の刑に法定の加重)

被告人藤井に対する刑の執行猶予

同法二五条一項

よって、主文のとおり判決する。

(裁判官 石村太郎)

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